国土交通省の報告によれば、タクシードライバーの平均年齢は58歳。半分以上の方が60歳以上といわれています。健康起因の事故が増えている状況もあり、いち企業として何ができるかをずっと考えてきました。いま私どもには約1500名、グループ全体では3500名以上のドライバーがおります。弊社では、出庫前の点呼で運行管理者がひとりひとりと面談し、各人の健康状態を把握しています。やはりドライバーの健康は、お客様の安全・安心に直結しますから、その前提に立って食事、睡眠、運動、それから眼の健康についても、さまざまな取り組みを始めているところです。そんな中、メガネメーカーでさまざまな使用シーンに特化したレンズを作られているJINSさんにご相談し、今回の導入へと至ったわけです。

長時間にわたって眼が紫外線にさらされるドライバーは、眼への負担が大きいと言われています。また、昼間の太陽のまぶしさ、夜間のヘッドライトによるぎらつき、雨天時の乱反射などは、走行の安全性に直接結びつきます。そしてそれらがドライバーのストレスとなっています。JINS DRIVE LENSを導入することで、こうしたドライバーのストレス負担を大きく改善できると期待しています。また、タクシーは接客業でもありますので、あまり暗いトーンのサングラスは掛けられません。その点でも、色の濃くないJINS DRIVE LENSなら、お客様のご理解を得やすいのではないかと思います。ドライバーの眼によく、運転の安全につながり、お客様にも安心していただける。3拍子揃ったメリットがあると思いますね。

タクシードライバーは長時間運転しますので、集中力や回復力を維持する必要があります。そこで各メーカーにご協力いただき、それらに効果の高いアミノ酸入りの商品を営業所に置くなど、対策を進めているところです。また、メタボや動脈硬化のリスクを減らすために、低糖質の食事をすすめるプロジェクトにも取り組んでいます。実は健康起因の事故による半分が、運転中の心疾患、脳疾患です。これを減らすには、普段の生活習慣から見直して、ストレスの少ない職場環境を作っていく必要があります。ドライバーの喫煙率を低下させるプロジェクトなどにも、今後は積極的に取り組んでいきたいですね。やはり「健康なくして安全なし」という考え方が基本。これは弊社のスローガンでもあります。

厳しい事業環境が続くタクシー業界ですが、少しでも安全に、健康に働ける職場づくりを進めていくことが、業界全体の活性化につながると考えています。2020年にはヘッドライトのオートライト（自動点灯）が義務化され、常時ハイビームを使用する形になってきます。交通事故を減らすためには良いことですが、ドライバーの眼の負担はますます大きくなるでしょう。これはバスやトラックなどのドライバーにもいえることで、弊社が他社に先駆けて導入しているさまざまな施策が、いずれ運輸業界全体に広まってくれたら嬉しいですね。そういう意味でも、JINS DRIVE LENSには大変期待しています。また、メガネとアプリが連動して心や体のデータを把握できるJINS MEMEなども、今後導入できれば絶対に有用だと思いますね。ドライバーひとりひとりの健康状態を把握したり、ちょっとした変化に気づいたりするのは、運行管理者にとって非常に大変な作業です。点呼前にバイタルデータを確認できれば、その負担を軽くすることができると思います。健康と安全は強く結びついていますから、業界全体で力を入れていきたいですね。